IT点呼とGマークの関係は?GマークなしでもIT点呼ができるって本当なのか?
2021.10.19
Gマーク:「安全性優良事業所」~安全に優れた運送事業所の証~
Gマーク事業所のインセンティブのひとつとして、IT点呼があります
IT点呼の検討にあたり、必ず目にするのが「Gマーク」です。現在、貨物運送事業において営業所間のIT点呼を始めるにはGマークの取得が必須条件のひとつになります。システムを導入したはいいけど、GマークがなかったせいでIT点呼での点呼執行が認められなかった、なんてことがないように初めに確認しておきましょう。
何故、IT点呼の実施にGマークが必要なのか?
Gマーク認定までには労力も、お金もかかるけれど…どうしてIT点呼実施の条件になっているの?
貨物自動車運送事業輸送安全規則
点呼等
第七条 貨物自動車運送事業者は、事業用自動車の乗務を開始しようとする運転者に対し、対面(運行上やむを得ない場合は電話その他の方法。次項において同じ。)により点呼を行い、次に掲げる事項について報告を求め、及び確認を行い、並びに事業用自動車の運行の安全を確保するために必要な指示をしなければならない。ただし、輸送の安全の確保に関する取組が優良であると認められる営業所において、貨物自動車運送事業者が点呼を行う場合にあっては、当該貨物自動車運送事業者は、対面による点呼と同等の効果を有するものとして国土交通大臣が定めた機器による点呼を行うことができる。出典:e-Govポータル (https://www.e-gov.go.jp)
※平成二年運輸省令第二十二号 貨物自動車運送事業輸送安全規則 をもとに東海電子㈱が一部省略、補足の上記載。
根拠となる法令部分をピックアップしてみました。
“輸送の安全の確保に関する取組が優良であると認められる営業所“
→Gマーク認定のある営業所、のことです。
貨物自動車運送事業輸送安全規則の解釈及び運用について
第7条 点呼等
1.第1項、第2項及び第3項関係(別紙2参照)
(途中省略)
(3) 「輸送の安全の確保に関する取組が優良であると認められる営業所」とは、全国貨物自動車運送適正化事業実施機関が認定している安全性優良事業所(認定が失効した営業所及び認定が取消された営業所を除く。以下「Gマーク営業所」という。)をいう。
出典:自動車総合安全情報(https://www.mlit.go.jp/jidosha/anzen/index.html)
※貨物自動車運送事業輸送安全規則の解釈及び運用について をもとに東海電子㈱が一部省略、補足の上記載。
“対面による点呼と同等の効果を有するものとして国土交通大臣が定めた機器による点呼を行うことができる”
→「IT点呼」で対面点呼したことにできる、ということです。
かなり大雑把に要約すると
“「点呼」は「対面で行う」のが大原則ですよ。でも安全に優れた運送事業所は例外として「IT点呼」という特別ルールを認めますよ”ということですね。
「対面」に勝る方法なし、でも普段から安全意識高い優良な営業所に関してはちょっとだけ例外認めちゃおっかな…みたいな、特権的な位置づけの上に存在するものなのです。
ところで、「Gマーク」という条件が、IT点呼普及のブレーキのひとつになっている、という考え方もあります。
対面点呼できない、IT点呼もできない、となると行き着くのは「コッソリ無人セルフ点呼」最終的には「点呼していれば防げたであろう重大事故の発生」でしょうか….
Gマークの消滅により、整えたIT点呼の体制が崩壊することも!?
IT点呼営業をしている身として、お客様から何年かに1回ぐらいは以下のようなご相談を頂くことがあります。
「IT点呼親拠点(運行管理者側)のGマークを今年、喪失してしまったため、
別の営業所を親拠点にしたいのですが…」
Gマークは認定制度ですが、失ってしまうこともあります。その場合、「輸送の安全に関する取組が優秀であると認められる営業所」ではなくなってしまい、そのままIT点呼を続けると必要要件を満たしていない点呼形態となり監査等での指導対象となってしまうので注意しましょう。
Gマークが条件→新規営業所はしばらくの間、IT点呼ができない。
新しく営業所を新設した場合、いきなりIT点呼は始められません。Gマークの取得に最低3年の年月を要します。つまり、新しい営業所は3年はIT点呼ができないのです。
GマークなしでもIT点呼できるって聞いたけど?
条件を満たした営業所とそれに紐づく車庫、条件を満たした営業所に紐づく車庫同士であれば、GマークなしでもIT点呼ができます。その条件とは、
1)開設されてから3年以上経過した営業所であること。
2)過去3年間で自動車事故報告規則で規定されている自責事故を起こしていないこと。
3)過去3年間で点呼の違反に関係した行政処分や警告を受けていないこと。
4)監査の直近の巡回指導で総合評価がD,E以外で点呼の項目の判定が「適」であること。
※上記4)の評価判定を満たせていない場合は、3ヶ月以内に改善報告書を提出し、総合評価A~C、点呼項目の判定が「適」に改選が図られていればOKです。
なお、「営業所」と「車庫」における関係性はこちらの記事をご参照ください。
貨物自動車運送事業輸送安全規則の解釈及び運用について
第7条 点呼等
1.第1項、第2項及び第3項関係(別紙2参照)
(3) 「輸送の安全の確保に関する取組が優良であると認められる営業所」とは、全国貨物自動車運送適正化事業実施機関が認定している安全性優良事業所(認定が失効した営業所及び認定が取消された営業所を除く。以下「Gマーク営業所」という。)をいう。
なお、次のいずれにも該当する一般貨物自動車運送事業者等の営業所にあっては、(5)で定める営業所と当該営業所の車庫間で行う点呼に限り、これと同等として扱う。
① 開設されてから3年を経過していること。
② 過去3年間所属する貨物自動車運送事業の用に供する事業用自動車の運転者が自らの責に帰する自動車事故報告規則(昭和26年運輸省令第104号。以下「事故報告規則」という。)第2条に規定する事故を発生させていないこと。
③ 過去3年間点呼の違反に係る行政処分又は警告を受けていないこと。
④ 地方貨物自動車運送適正化事業実施機関が行った直近の巡回指導において、総合評価が「D、E」以外であり、点呼の項目の判定が「適」であること又は巡回指導時に総合評価が「D、E」若しくは点呼の項目の判定が「否」であったものの、3ヶ月以内に改善報告書が提出され、総合評価が「A、B、C」であり、点呼の項目の判定が「適」に改善が図られていること。
出典:自動車総合安全情報(https://www.mlit.go.jp/jidosha/anzen/index.html)
※貨物自動車運送事業輸送安全規則の解釈及び運用について をもとに東海電子㈱が一部省略、補足の上記載。