IT点呼”国土交通大臣が定めた機器”って何?ZoomとかではIT点呼できる?
2021.9.23
IT点呼は「国土交通大臣が定めた機器」で行う必要があります。
「国土交通省が認めた機器」や「国土交通大臣が認めた機器」といった言い方は誤りで、正確には「国土交通大臣が定めた機器」になります。
貨物自動車運送事業輸送安全規則
(点呼等)
第七条 貨物自動車運送事業者は、事業用自動車の乗務を開始しようとする運転者に対し、対面(運行上やむを得ない場合は電話その他の方法。次項において同じ。)により点呼を行い、次に掲げる事項について報告を求め、及び確認を行い、並びに事業用自動車の運行の安全を確保するために必要な指示をしなければならない。ただし、輸送の安全の確保に関する取組が優良であると認められる営業所において、貨物自動車運送事業者が点呼を行う場合にあっては、当該貨物自動車運送事業者は、対面による点呼と同等の効果を有するものとして国土交通大臣が定めた機器による点呼を行うことができる。
出典:e-Govポータル (https://www.e-gov.go.jp)
※平成二年運輸省令第二十二号 貨物自動車運送事業輸送安全規則 をもとに東海電子㈱が一部省略、補足の上記載。
貨物自動車運送事業輸送安全規則 解釈及び運用
第7条 点呼等
1.第1項、第2項及び第3項関係(別紙2参照)
(~中略~)
(4) 「国土交通大臣が定めた機器」とは、営業所で管理する機器であって、そのカメラ、モニター等によって、運行管理者等が運転者の酒気帯びの有無、疾病、疲 労、睡眠不足等の状況を随時確認でき、かつ、当該機器により行おうとする点呼 において、当該運転者の酒気帯びの状況に関する測定結果を、自動的に記録及び 保存するとともに当該運行管理者等が当該測定結果を直ちに確認できるものをい う。
出典:自動車総合安全情報(https://www.mlit.go.jp/jidosha/anzen/index.html)
※貨物自動車運送事業輸送安全規則の解釈及び運用について をもとに東海電子㈱が一部省略、補足の上記載。
必要な三つの具体的条件
①映像越しに運転者の状況(酒気帯びの有無・疲労・疾病・睡眠不足等)を
随時確認できること
電話のような音声やりとりだけではNG、
アルコール測定時の画像のみなど、写真だけでもNG、
テレビ電話のように映像でお互いの表情が確認でき、
会話ができる必要があります。
②アルコール測定記録が自動で保存されること
映像越しで確認したアルコール測定結果を運行管理者が
手書きで記録するしかない仕組みはNG。
③運行管理者がすぐにアルコール測定記録を確認できるシステムであること
「アルコール測定結果は後日まとめて運行管理者へ提出する」はNG。
クラウドへ記録を反映して運行管理者が確認できるタイプもOKです。
以上3点を満たしている必要があります。IT点呼システム市場には現在、12社以上が参入しております。
IT点呼はZOOM等のWeb面談システムを用いたものでも認められるのか?
2021年の1月頃に、北海道で「ZOOMを使ったIT点呼が認められた」という情報がありました。運輸局がOKを出したとのことです。(「IT点呼 ZOOM」等のワードで検索してみると、トップの方に当該記事が確認できました。※記事掲載元に許可をとっていないので、直接のリンク等は載せておりません。)
一般的なWeb面談・テレビ電話システム単体だと、先述の”三つの条件”のうち①の条件しか満たしません。ZOOM+ハンディタイプのいわゆる簡易式アルコールチェッカー の組合せでは認められないように見受けられます。自動記録型のアルコール検知器を用いて②を満たし、さらに運行管理者がすぐに確認できる環境としてクラウド上に記録保存をすれば、 ”当該運行管理者等が当該測定結果を直ちに確認できる ”状況を作り出し③を満たすことができる…のかもしれません。ただ、この方法は複数システムを組み合わせたことで先述の3つの条件を満たしているのかどうか、IT点呼として認めるかどうかを判断するのはあくまでも運輸局、国交省になります。ZOOMだけだとまず認められないですし、複数システムを組み合わせてそれが要件を満たしていることの証明と確認が都度、個別の事案として必要になってくるでしょう。
メーカー営業としては、やはり自社のIT点呼システムをご購入頂き使って頂きたい…という思いが先行するのは正直なところですが、こうした「自分の考えた複数システムの組合せによりIT点呼が認めらるかどうかの照会の手間」や「障害・不具合時のサポート体制」までを考慮すると、そのあたりの手軽さや安心を価値に含んで提供させていただいているパッケージものの「IT点呼システム」を御提案させて頂きたいところでございます。