旅客事業者のIT点呼ルール

2021.10.20

バス・タクシー事業者でも一部IT点呼が認められております

 「IT点呼」というと、トラック事業者のイメージがありますが、旅客業でも一定の条件下でIT点呼が認められております。

・開設してから3年を経過していること

・過去3年間自らの責に帰する重大事故を発生させていないこと

・過去3年間行政処分又は警告を受けていないこと

上記を満たしていれば、

営業所と当該営業所との車庫間に限り、
IT点呼が認められております。

緑ナンバーのトラック事業者と同様、新しく開いたばかりの営業所ではやはりIT点呼は始められません。

またトラック事業者と異なり、他営業所の運行管理者とのIT点呼は認められていない点も注意が必要です。

 

旅客自動車運送事業運輸規則

(途中省略)

(点呼等)
第二十四条 旅客自動車運送事業者は、乗務しようとする運転者に対して対面(運行上やむを得ない場合は電話その他の方法。次項において同じ。)により点呼を行い、次の各号に掲げる事項について報告を求め、及び確認を行い、並びに事業用自動車の運行の安全を確保するために必要な指示を与えなければならない。ただし、輸送の安全及び旅客の利便の確保に関する取組が優良であると認められる営業所において、旅客自動車運送事業者が点呼を行う場合にあつては、当該旅客自動車運送事業者は、対面による点呼と同等の効果を有するものとして国土交通大臣が定めた機器による点呼を行うことができる。

出典:e-Govポータル (https://www.e-gov.go.jp)

旅客自動車運送事業運輸規則(昭和三十一年運輸省令第四十四号)をもとに東海電子㈱が一部省略、補足の上記載。

旅客自動車運送事業運輸規則の解釈及び運用について
第24条 点呼等

(1) 乗務前、乗務途中及び乗務後の点呼等の実施(第1項から第3項まで)
③ 「輸送の安全及び旅客の利便の確保に関する取組が優良であると認められる営業所」とは、次のいずれにも該当する旅客自動車運送事業者の営業所をいう。なお、同一営業所で複数の旅客自動車運送事業を行う場合には、国土交通大臣が定めた機器による点呼を行うこととする事業ごとに、当該事業について次のいずれにも該当するか否かを判断することとする。
(ⅰ) 開設されてから3年を経過していること。

(ⅱ) 過去3年間所属する旅客自動車運送事業の用に供する事業用自動車の運転者が自らの責に帰する自動車事故報告規則(昭和26年運輸省令第104号。以下「事故報告規則」という。)第2条に規定する事故を発生させていないこと。

(ⅲ) 過去3年間自動車その他の輸送施設の使用の停止処分、事業の停止処分又は警告を受けていないこ
と。


④ 「国土交通大臣が定めた機器」とは、営業所で管理する機器であってそのカメラ、モニター等によって、運行管理者等が運転者の酒気帯びの有無、疾病、疲労、睡眠不足等の状況を随時確認でき、かつ、当該機器により行おうとする点呼において、当該運転者の酒気帯びの状況に関する測定結果を、自動的に記録及び保存するとともに当該運行管理者等が当該測定結果を直ちに確認できるものをいう。


⑤ ③の営業所において④の機器を用い、営業所と当該営業所の車庫間又は営業所の車庫と当該営業所の他の車庫間で行う点呼(以下「旅客IT点呼」という。)は、以下に定めるところにより行うものとする。

(ⅰ) 旅客IT点呼の実施方法
ア 運行管理者等は、旅客IT点呼を行う営業所(以下「旅客IT点呼実施営業所」という。)又は当該営業所の車庫において、当該営業所で管理する④の機器を使用し旅客IT点呼を行うものとする。

運転者は、旅客IT点呼実施営業所の車庫において、当該営業所で管理する④の機器を使用し旅客IT点呼を受けるものとする。

(ⅱ) 運輸支局長等への報告関係
ア 旅客IT点呼を実施しようとする事業者には、旅客IT点呼実施営業所を管轄する運輸支局長、運輸監理部長又は陸運事務所長(以下「運輸支局長等」という。)に、旅客IT点呼実施予定日の原則10日前までに別紙1の報告書を提出するよう指導すること。

イ 提出した報告書の記載内容を変更しようとする事業者には、変更の実施に先立ち、当該営業所を管轄する運輸支局長等に別紙2の報告書を提出するよう指導すること。

ウ 旅客IT点呼の実施を終了しようとする事業者には、遅滞なく、当該営業所を管轄する運輸支局長等に別紙2の報告書を提出するよう指導すること。

出典:自動車総合安全情報(https://www.mlit.go.jp/jidosha/anzen/index.html)

 ※旅客自動車運送事業輸送安全規則の解釈及び運用について をもとに東海電子㈱が一部省略、補足の上記載。

旅客IT点呼の意図

長らく旅客業界はではIT点呼は認められておりませんでしたが、2019年度初めごろに解禁となりました。

旅客IT点呼解禁の狙いは、運転者の営業所⇔車庫間の往復移動が不要になることによる働き方改革によるところが大きかったようです。それでも他営業所の運行管理者とのIT点呼は認められていないため、その効果や普及は限定的と思われます。やはり”人”を輸送しているからなのか、トラック業界と比較すると”対面点呼であることの前提”がより厳格であるように感じます。

 

IT点呼拡大?ロボット点呼?今後の展望は…(運輸安全journalより)

 2021年10月現在でこそ、かなりの規制下にある旅客IT点呼ですが、今後IT点呼要件の拡大やロボット点呼の活用検討の動きもあります。詳しくは下記記事を参照ください。

別名、ロボット点呼検討会? IT点呼拡大検討会? リモート運行管理検討会? ~ 運行管理高度化検討会は何を目指しているか ~(前編)

別名、ロボット点呼検討会? IT点呼拡大検討会? リモート運行管理検討会? ~ 運行管理高度化検討会は何を目指しているか ~(後編)