同じ建屋内 「1階と2階のIT点呼(?)」は認められる?

2021.11.1

2階に席をおく、ある運行管理者:「点呼で1階まで降りていくの、面倒くさいなぁ~」

 このような事情で、いち営業所内で1階と2階にパソコンを置き、IT点呼システム等を用いてテレビ電話越しに点呼を執行することは、残念ながら認められていないようです。これは、いち営業所内での点呼であるため、現行制度に照らし合わせれば「IT点呼」ではなく、「対面点呼」で執行すべき点呼です。

 

貨物自動車運送事業輸送安全規則 を読んでみると、

貨物自動車運送事業輸送安全規則
(点呼等)
第七条 貨物自動車運送事業者は、事業用自動車の乗務を開始しようとする運転者に対し、対面(運行上やむを得ない場合は電話その他の方法。次項において同じ。)により点呼を行い、次に掲げる事項について報告を求め、及び確認を行い、並びに事業用自動車の運行の安全を確保するために必要な指示をしなければならない。『ただし、輸送の安全の確保に関する取組が優良であると認められる営業所において、貨物自動車運送事業者が点呼を行う場合にあっては、当該貨物自動車運送事業者は、対面による点呼と同等の効果を有するものとして国土交通大臣が定めた機器による点呼を行うことができる。』 

出典:e-Govポータル (https://www.e-gov.go.jp)

平成二年運輸省令第二十二号 貨物自動車運送事業輸送安全規則 をもとに東海電子㈱が一部省略、補足の上記載。


これだけ読むと、Gマークあれば対面による点呼と同等の効果があるものとしてIT点呼システムによる点呼が認められてるように読めますが、

「貨物自動車運送事業輸送安全規則の解釈及び運用について」 を読んでみると、下記のようにさりげなく「IT点呼」の「組合せ」が定義されております。

貨物自動車運送事業輸送安全規則の解釈及び運用について
第7条 点呼等
1.第1項、第2項及び第3項関係(別紙2参照)
 
 (途中省略)

(5) 同一事業者内のGマーク営業所において、(4)の機器を用い、営業所間、営業所と車庫間又は車庫と車庫間で行う点呼及び(3)なお書きの営業所において(4)の機器を用い、営業所と当該営業所の車庫間又は営業所の車庫と当該営業所の他の車庫間で行う点呼(以下「IT点呼」という。)は以下に定めるところにより行うものとする。

出典:自動車総合安全情報(https://www.mlit.go.jp/jidosha/anzen/index.html)

 ※貨物自動車運送事業輸送安全規則の解釈及び運用について をもとに東海電子㈱が一部省略、補足の上記載。

ここで「IT点呼」としている点呼は

 

・営業所間

・営業所と車庫間

・車庫と車庫間

・Gマークがなくても(3)なお書きの条件を満たしている営業所とその営業所の車庫間

・Gマークがなくても(3)なお書きの条件を満たしている営業所の車庫と同営業所のほかの車庫間

 

の組合せのみです。(※厳密には、遠隔地にいる運転手との「遠隔地IT点呼」もあります。)

このことからもいち営業所施設内での点呼は輸送安全規則の解釈に定めるところの「IT点呼」には該当しないため「IT点呼システム」を使用したモニタ越しだけでの点呼は認められず、しっかりと「対面」で点呼を執行する必要があることがわかります。

 

コロナ渦による「新しい生活様式」の元に生まれた、SD点呼(ソーシャルデディスタンス点呼)

ところで皆さん、SD点呼(ソーシャルディスタンス点呼)という言葉は聞いたことありますでしょうか。

実はSD点呼とは輸送安全規則等には載っておらず、当社が造った製品サービス名になります。点呼執行者から数メートル離れた距離であれば、乗務員の目視が可能であることからIT点呼システムのテレビ電話を使用しつつ、「運転者と点呼執行者のソーシャルディスタンスを保った形の対面点呼として有効」であります。こちらは、国土交通省の担当部門へ確認を取っております。ただ、やはり「運行管理者から乗務員が目視可能」が肝であるため、別室や別階で目視不可となると、現行制度では対面点呼として成り立たなくなってしまいます。